ちょっと今から仕事やめてくる(北川恵海)の書評

仕事で疲れた人間が見る景観

毎日営業の仕事で疲れていた青山が、山本という男と出会ってから、少しずつでも良いから人間として成長していこうと奮闘する物語です。

謎の男、その名前は山本

営業で疲れ果てた帰り道の画像

営業の仕事で疲れ果てて、ブラック企業で酷使されていた青山はいつものように仕事を終わらせた後に駅のホームにいて帰りの電車を待っていました。疲れ果てていた青山は人とぶつかり、そのまま線路に落ちそうになった時に謎の男に寸前の所で助け出されました。

青山は「誰だろう?」と思っていたのですが、山本は小学校の時の同級生と名乗っているのですが、どうしても思い出せないのです。思い出せないのですが、面と向かって「そんな同級生はいたか?」と聞ける訳もなくそのまま一緒に食事をする事になったのでした。

少しずつ、変わって行く青山

疲れ切ったサラリーマンが仕事に向かう所の画像

謎の男は山本と言い、仕事の話をしていくうちに、少しずつ頑張っていかなくてはいけないと思った青山は努力していこうとします。しかし、悲しいことに青山が働いていたのはどうしようもないほどのブラック企業。

今ままでずっとかばってくれていた会社のある人間が青山を裏切ったのです。なぜ青山を裏切る必要があったのでしょうか?それは青山が頑張ろうとして業績を伸ばし始めたので、このままでは青山ではなく俺のほうが上司に無理難題なノルマを要求されてくると考えたからです。

そのため、青山が休憩で席をはずしている間にパソコンを操作して発注の内容を書き換えて、青山にせいにしたのですが、その内容をわざわざ青山に言ってきました。衝撃が走り「社会に出てはいけない人間だったんだ。」と思ったのです。

この世界で踏みとどまるべきか?

この地獄のような世界で踏みとどまるべきか悩む主人公

疲れ果てた青山はもう生きて行く気力が完全に無くなりました。ビルの屋上へ向かっていく青山。その屋上で見た光景は美しい青空が広がっていました。このまま、ここから飛び降りたら楽になれると思った青山は落ちようとした瞬間に山本に後ろから呼び止めらたのです。

しかし青山は「来ないでくれ」と山本に言いました。それに対して山本は「目の前で落ちられたら、一生のトラウマになる」と言ってきました。青山は「じゃあ、そのまま帰ってくれ」としばらく無理問答が続きます。そして、親しい人間が亡くなったら残された家族はどうなるんだ?

……という結論になって何とか踏みとどまりました。その後に青山が踏みとどまらせた山本に感謝して、最後に取った行動は同じようなブラック企業に働いている人間なら、誰もが「自分も、そんな事がしてみたい」と思えるような行動だったのです。

まとめ

会社に踏みとどまったら逃れられない負のスパイラル

私はこの本を読んでいた時はちょうど会社を退職しようとしていた時だったのでよく理解できます。日本では年間3万人近い人間が自ら生涯の幕を閉じる方達がいる国なのです。それを考えると青山の行動は、多くの方が理解できるのではないでしょうか?しかし、自ら生涯の幕を閉じた人間はその後に暗い世界で体だけ地中に埋もれて顔だけ出すことになるという話もあります。

違う話ではビルから飛び降りた者は、亡くなった後もまだ終わっていないと勘違いをして、何度も飛び降りようとするという話もあるのです。その話が本当かどうかは生きている以上は知るよしもありません。本当に亡くなったら楽になれるのでしょうか?それは人間の永遠のテーマと言えるでしょう。どれだけ科学が発達して重力波などが発明されて宇宙が解明されていっても亡くなった後の世界は解明できないのですから。

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