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博士の愛した数式(小川洋子)の書評

数学で必要となる人間の脳

2004年本屋大賞に選ばれた「博士の愛した数式」は、80分の記憶しか持たない数学の博士と、家政婦の親子2人が家族のような関係になる暖かくもせつない物語です。

気難しい博士の家へ派遣された家政婦

博士の家へ訪れる家政婦

物語は、あけぼの家政婦紹介組に所属する女性の家政婦が、気難しい家へ派遣される所から始まります。この家政婦は10歳の息子と2人暮らしで、高校生の時にアルバイト先で知り合った大学生の間に生まれた子でした。

しかし、この男性は女性の前から去って行き、家政婦の息子は父親の愛情を知らずに育って行ったのです。家政婦の仕事をしながら、息子を育てていた時に家政婦紹介組から新たに派遣された家は、今まで何人もの家政婦がクビになってしまうほどでした。

家政婦は博士に会う前に、博士の義姉から、博士のお世話を頼みまれます。その時に義姉から、博士は交通事故により頭を打って、記憶が80分しか持たない事を聞かされるのです。

博士と親子のような関係になる3人

博士が数式を教える画像

家政婦は、博士のお世話をするようになりますが、博士は気難しい性格で数字の事を考えている時に話しかけられると不機嫌になる性格でした。さらに80分も経つと、家政婦の事を忘れてしまうので、博士の家から出かける時は80分以内で帰る必要があったのです。

そのような博士と家政婦が話をしている時に、家政婦に息子がいる事を知った博士は、子供1人で留守番させている事は良くないと言い始めます。そして、博士のお世話をしている間は息子も連れて来て良い事に鳴ったのです。

博士は息子の頭がたいらである事から「√(ルート)」と名付けました。博士はルートを実の子のように大変可愛がりました。そんなある日、博士が熱を出してしまい、家政婦は泊まり込みで博士を看病したのですが、この事が思わぬ結果を招くのです。

義姉のクレームで家政婦がクビに!?

家政婦がクビになってしまう悲しいストーリー

博士の義姉が、女性である家政婦が、義弟の家に泊まり込んだのは問題とクレームをつけて家政婦は博士の家へ行けなくなったのです。しかし、家政婦の息子だけが、博士の家へ遊びに行ってしまいました。

義姉は家政婦を呼びつけて、息子を使って弟の財産を狙っているのかと問いつめます。しかし、家政婦は否定をして義姉と口論しますが、その場にいた博士の一言でその場は収まります。

その後になって、再び家政婦は博士の家へ派遣出来る様になりました。博士と家政婦の親子3人は実の家族のように幸せな日々を重ねていきますが、物語のラストは暖かくも切なく終わりを告げるのです。

数学が苦手な方も楽しめる小説

数学が大きく関わってくるストーリー

私は、数学が嫌いですが、この小説を読んでみて、心温まる物語で楽しく読ませてもらいました。その為、数学が好きな方はもちろん、数学が苦手な方も楽しく読める小説です。

博士は家政婦の親子に、ルートや素数・完全数・友愛数・ゼロの成り立ちまで、数学について数多くの話をしていきます。博士は数学の話をしながら、家政婦の親子2人と家族同然のような関係になっていくのです。そのように考えると、この小説は「数学・文学・家族愛」が融合した作品と言えるのではないでしょうか?