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蒼氓(第1回芥川賞 受賞)の書評

小説/受賞/芥川賞

蒼氓は大海原を航海するストーリー

第1回芥川賞(1935年上半期)を受賞した『蒼氓』は石川達三先生の小説で、昭和前期の頃に、日本の貧しい人達が楽園と言われているブラジルへ移り住もうと苦難の船出の旅に出かける物語です。

昔も今も日本が抱える人口問題

蒼氓では暑い日々の中でも堪える日々

1930年(昭和5年)に神戸港からブラジルへ旅立とうと900名もの移民の方達が船に乗り込もうとしていました。この移民達は政府から補助金を貰っていたのですが、その背景には人口問題がありました。現在の日本でも人口問題はありますが、昭和前期は全く逆の意味の人口問題があったのです。

当時の日本は現在より人口は少なかったのですが、人口が多すぎると考えられて、人口の多さを解消しようとしていました。現在の日本のように外国に依存しようとしていなかったので、人口が多すぎると考えられていたのです。しかし、この事から言える事は、常に人口問題に悩まされている日本の姿が見えてくるでしょう。

移民は現在の日本に無関係ではない?

現在の日本と無関係ではない物語の蒼氓

移民と言うと、あなたは日本に無関係と思っていないでしょうか?決して現在の日本には無関係と言えないのです。なぜなら、日本は少子高齢化が着実に進み、人口は減り続けています。日本の政治家達は、移民をしないと日本は崩壊すると考えているのです。

なぜなら、少子化対策をしても出生率は1.46(2015年)程度であり、人口を維持するのに必要な出生率は2.08と言われているので、全く足りない状態なのです。ただし、以前に比べれば出生率は回復しているのは事実なのですが、それ以上に高齢者が増えているので移民問題は避けては通れない問題と言えるでしょう。

楽園と言えなかったブラジル

移民が夢見たブラジルという国

移民達は、楽園と聞いていたのですが、一度も訪れていない国へ移り住む訳ですから期待と不安を抱いていました。しかし、船がブラジルへ近づくにつれて、船内にいる移民達はブラジルは不景気で食べて生きるので精一杯という噂が聞こえてきたのです。

移民達がようやくブラジルにたどり付いた時は、確かにブラジルは楽園ではありませんでした。しかし、楽園ではなくても日本にはない幸福を移民達は感じていました。蒼氓は、昔と現在の日本で相通じる問題を感じられて、私達の先祖がブラジルで味わう事の出来た幸福は何だったのか?それを分かる事が最大の読み応えのある所でしょう。

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