終戦のローレライ 下(福井晴敏)の書評

大日本帝国が太平洋の水中で繰り広げた死闘

「終戦のローレライ(下)」では、同じ日本人同士で誰が味方で、誰が敵か分からなくなっていきます。大日本帝国がどのような終戦を迎えるのか?そのストーリーや見所を紹介しましょう。

「終戦のローレライ(上)」のストーリーや見所を知りたい方は、下のリンクをクリックしてみて下さい。

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「終戦のローレライ(下)」のストーリー

日本の風景を表す画像

大日本帝国が米国に敗ける事は誰の目から見ても明らかな中で、東条内閣が倒れて、大日本帝国の軍部では内部のある騒動で揺れ動いていました。

朝倉大佐の思惑(起)

太平洋の孤島

伊507に絹見を艦長にして、ローレライを手中にした朝倉大佐でしたが、その朝倉大佐は行方をくらませてしまいました。その朝倉大佐の動向に、目をつけた大湊が軍をあげて捜索すべきと軍司令部で主張。

しかし、軍司令部の腰は重く、大湊の意見は取り入れられず、議論は平行線で終わります。

その頃、朝倉大佐は太平洋の孤島であるウェーク島へ到着。しかし、乗っていた飛行機は炎上しますが、朝倉大佐は表情を全く崩しません。その朝倉大佐を迎えたのが、土谷・鹿島・渕田達。この4人は大日本帝国に歯向かうのか?それとも救うために何かをしようとしているのか?それは全く謎のままストーリーが展開していきます。

日本に投下されていく未体験の投下物(承)

広島に原爆投下された惨劇

朝倉大佐が不穏な動きを見せるなかで、伊507では征人が清水の協力を得てパウラを外に出してあげます。陸上に住む人間が外の空気を吸って青い空を見るのは当たり前ですが、海中で見をひそめて潜水艦に入って戦ってきたパウラにとって、外へ出るというのはそれだけでかけがえのない時間でした。

米国では大日本帝国にある物を投下する目的地を4か所に絞って、最初に投下される目的地に選ばれたのが広島市。建物は吹き飛ばされ数え切れないほどの市民が犠牲になります。

しかし、甚大な被害を受けても降伏しようとしない大本営。その大本営について、鹿島と土谷は思わず言い合いを起こします。この土谷は、日本人は日本人でも、実は米国に住む日系人でした。そして、この土谷は朝倉大佐と信じられない約束を交わしていました。それは大日本帝国自身によって幕を閉じさせるための約束。

絹見達にしかけられた罠(転)

罠にはまってしまう伊507

絹見達はウェーク島に着いたら、朝倉大佐からある作戦を打ち明けられます。それは、米国を一時的に混乱させて有利な条件で講和に持ち込む作戦でした。そこで絹見は征人・清水達だけをウェーク島に置いて出撃していきます。しかし、この作戦には裏があって、絹見達は罠にかけられようとします。それに気づいた清水はそれを伝えようとしたら、土谷に阻止されてしまうのです。

伊507は土谷の指揮下に入る所でしたが、ここまで絹見に距離を置いていたフリッツが絹見達日本人のために命をかけて伊507を土谷から取り戻します。朝倉大佐は米国と密かに通じており、同胞である日本人がどれほど犠牲になろうとも国家の切腹をさせようとしているのに対して、絹見達は袂を分かちます。

大日本帝国が内部で内輪揉めをしている間に、アメリカでは大日本帝国に長崎へ続けて人類が体験した事のない物を投下した後に、さらに次の目的地に投下するための準備を進めていました。その投下目標は帝都「東京」!

絹見達が命をかけた先にあるものとは?(結)

日米両軍の死闘の果てに

伊507に乗船していたい絹見達が目指したものは日本本土への攻撃を辞めさせるものでした。米軍の攻撃を阻止する間に大本営が降伏をして、これ以上の犠牲者を出さない事。もちろん米軍の攻撃を阻止した所で、大本営が降伏してくれる保証はなかったのですが、絹見はこのわずかな可能性に賭けました。

そして、さらなる攻撃をするための戦闘機がある地点を目指して、伊507は出撃します。しかし、その先に待ち構えていたのは米国の戦艦40杯!ローレライのある伊507を1つ止めるだけに、ここまでの戦力で待ち構えていたのです。

絹見はあまりの戦力差に愕然としますが、あらゆる作戦を駆使して少しずつ爆撃機のいる所まで接近します。

いよいよ戦闘機の近くまで来た所で征人とパウラは伊507から引き離されてしまいます。征人とパウラは、伊507に今までつながれていたナーバルに二人っきりになって、なんとか日本へ戻ろうとしていきます。そして征人達と別れた後の絹見達は米軍の戦闘機の地点目指して突き進んでいきます。

日米両海軍の激闘の末に、米軍のオブライエンは絹見と目を合わせる事になります。そこで絹見は少し微笑んでいるようにも見えました。日米の両海軍が激闘の末に掴んだ未来を、征人とパウラは生きる事になります。しかし、その未来は正しい世界なのか?正しい日本なのか?征人は涙を流してしまい、パウラに慰められてローレライの物語は終わりを告げます。

「終戦のローレライ(下)」の見所

ローレライの見所となる日本の現代を見つめる女性

日本でありふれた小説と決定的に違うものがローレライ(下)にはありました。それは資本主義国家で物欲にまみれた現在の日本人は正しいのか?それは先祖達が懸命になって亡くなっていった方達に申し訳がたつような国家や国民なのかという事です。

それを問いかけるように朝倉大佐が将来の日本や世界の事を予測して国家の切腹を迫っていきます。過去の大日本帝国の失敗をどこで止められたのかというだけではなく、現在の日本で本当に良いのか?過去と現在両方の日本が歩むべき道を問いかけていく事に考えさせられるのが、この小説の見所と言えるでしょう。

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