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デットエンド(よしもとばなな)の書評

デットエンドのストーリーを表す花

人によって、幸せのカタチはそれぞれ違います。デットエンドの思い出では、5つの物語があって、それぞれ違うカタチの幸せについて物語が進んでいきます。この小説を知らない方のために、この『デットエンド(よしもとばなな)』のストーリーや見所を見所を紹介しましょう(ネタバレ注意)。

デットエンドのストーリー

いくつもの幸せの形

人によって幸せと感じる事が、違う人によっては幸せに感じない事があります。これから始まる5つの物語は、幸せのカタチについて考えさせられる話です。

幽霊の家

幽霊が出るアパート

洋食屋を経営している両親のもとで生まれた『せっちゃん』という少女とロールケーキ屋を経営している家の一人息子である『岩倉』君という少年は、お互いに似たような境遇で、同じバイトで働いていました。

そんなある日、せっちゃんが岩倉君の家で一緒に食事をする事になりましたが、その家は幽霊が出る家で信じられないほどのボロい家だったのです。せっちゃんは「お祓いをしないの」と聞きますが、その幽霊はこのアパートの大家さん夫婦で凄く幸せそうにしていたのです。

だから岩倉君は、このアパートが取り壊されるまでそっとしておきたくて、お祓いをしなくて良いと言います。せっちゃんは、そこが岩倉君の良い所だと思って「ふぅん」と答えるのです。

そんな二人でしたが、岩倉君は外国へ留学する事になったので、その前で二人で一夜をともにしてしまいます。そして二人は「また縁があったら」と言って別れますが、岩倉君が帰国する時に二人は偶然にも近所の喫茶店で、再び出会う事が出来るのです。そして連絡交換をした後に岩倉君からせっちゃんへ人生を変える電話をかけますが、せっちゃんの返答に思わず岩倉君はゲラゲラ笑ってしまうのです。

おかあさーん!

カレー事件

松岡は会社の社員食堂で、カレーを食べようとしたら『和歌山のカレー事件』を思い出しますが、それはこれから起こる事を予測した直感だったのかもしれません。食堂へ入る時に誰かとぶつかりますが、その男は髪がボサボサで、誰かはその時分かりませんでした。

そして食堂でお茶をそそいでカレーを受け取って、こんな何気ない事が、心が安らぐひと時だと思っていました。そして、これから良い事が起こるとさえ思っていたのです。所が、そのカレーには毒が入っており、松岡は倒れ込んでしまい病院へ運び込まれてしまうのです。

同僚の光子がやってきて、山添という男が毒を入れた事を教えてくれましたが、犠牲者は幸か不幸か松岡一人だけだったのです。その事に松岡は怒る事もなく、私一人で良かったとつぶやくのです。

松岡は退院して出版社へ再び出勤するようになって、ある作家の家へ訪れた時に、作家から毒を入れられた事を色々と聞かれてしまいます。松岡は編集者なので、その話はやめてくれと言えないで、ついに大泣きして「もう質問されるの嫌なんです」と叫んでしまいます。作家は自分の無神経さに気づいて謝り、その奥さんから静かに慰められてしまいました。

松岡は、大変な目にあっているなかで、つねに支えてくれていた恋人と結婚する事になり新婚旅行をする事まで決めた所で少女時代の事を思い出していました。それは母親に虐待された少女時代だったのですが、松岡は思います。母親だって好きで私を痛めつけていた訳じゃないんだと。何かのキッカケで上手くいかなかったけど、この世の中は微笑みあって良い時間を共有していると松岡は思うのです。

あったかくなんかない

光の明かりが照らす意味

『みつよ』は少女時代に『まこと』という男友達がいました。そのまこと君は大人しくておっとりして優しい性格をした優等生のような子供だったのです。まこと君は、和菓子の老舗のお坊ちゃんで、よく出来た両親や歳の離れた姉がいました。

ただし、まこと君はお父さんが妾(めかけ)の女性と浮気した時に出来た子供という特殊な事情を抱えていました。しかし、みつよの目には大きな邸宅で暮らしてお手伝いさんもいて、祖父母も一緒にいて大家族で何も不自由のない世界に見えたのです。それにひきかえ、みつよの家は両親と3人家族だったので、ご飯を食べている時にもしもお父さんが病気で亡くなったらどうなるんだろう?と不安に思う時があるのです。

そんなある日、まこと君がみつよの家へ遊びに来たのですが、その日に限ってまこと君は帰りたがらなかったのです。結局まこと君の家のお手伝いさんが迎えに来たのですが、まこと君が帰った後に恐ろしい事が起きました。まこと君の本当のお母さんがやってきて、まこと君の父親に詰め寄って、まことを奪って行ったのです。所が、車の帰り道で、交通事故を起こしてまこと君は亡くなってしまったのです。みつよにとって悲しい出来事でしたが、それでも、まこと君と一緒にいられた時間を光栄に思うしかありませんでした。

ともちゃんの幸せ

愛犬の臨終

ともちゃんは、仮に嫌な思い出があったとしても、その場所が嫌いにならない女性でした。ともちゃんは思い出よりも、その場所の季節と共に移りゆく景色のほうが好きだったので、嫌な思い出がある場所でも嫌いにならい性格なのです。所が、ともちゃんは人の物を取るのが嫌いな所がありました。

なぜなら、ともちゃんのお父さんは秘書の女性と浮気をして、母を置いて家を出ていった事があったからです。母親は以前から父親が浮気をしている事に気づいて「人のものだと頑張れる人っている」という言葉をつぶやいた事があったのです。そんなともちゃんには好きな人がいて、その人は三沢さんという人でした。三沢さんは飼っていた愛犬が弱ってきたので会社を休んで臨終を見守ったのです。

そんな優しい人だから、ともちゃんは好きだったのですが、三沢さんには恋人がいたのです。そのため、ともちゃんはどうする事も出来なかったのですが、三沢さんが一人でランチを食べるようになった事にともちゃんが気づいて、三沢さんと喋るチャンスに巡り会えたのです。もしかしたら、ともちゃんと三沢さんはこのまま上手くいくかもしれない。ともちゃんの人生をかいま見た小説家はそう思うのです。

デットエンドの思い出

スマホで別れを告げる画像

ミミには『高梨』君という婚約者がいましたが、電話をしても出てくれなくて、折り返しの連絡さえこなくなりました。でも付き合いが長いとそうなるのかなと思っていたのです。そこで、突然彼の家へ行こうかなと妹に言ってみたら、妹が「お姉ちゃんが傷つかないといいけど」と心配します。

しかし、ミミは負けじと彼のアパートへ行った。しかし、そこでは妹が危惧していた通りの展開になってしまい、アパートには他の女性が住んでいたのです。途中で彼もやってきて、その女性と彼は結婚する事を約束しており、彼は冬には話すつもりだっと言って謝ってきますが、ミミは深く傷つくのです。

ミミは妹に電話をしたら、妹はそんな事だと思ったと言いますが、その声は涙声でした。家族から帰ってこいと言われますが、慰められたら自ら生涯の幕を閉じようとするかもしれないので、叔父が経営しているお店の空き部屋に住む事にしました。

そのお店では雇われ店長の西山君が、ミミの事を心配して色々と話しかけてきました。次第に西山君になれてきたミミは、お店の手伝いをするようになります。二人はそれから色々と話し合うようになって、西山君はミミが婚約者に貸していたお金を返してもらおうと奔走までしてくれたのです。

そんな二人にもついに別れがやってきて、ミミは涙ぐみながら電話でお別れの言葉を伝えます。ミミの目から涙が流れますが、それはミミ自身が納得出来る良い涙でした。

デットエンドの見所

デットエンドの感想を説明する女性

小説のページ数が少ない中で、5つの物語が展開されていく訳ですから、必然的に内容は凝縮されます。その5つの物語の中では幸せには色々なカタチがあって、その幸せはいつ壊れるか分からないし、どんな幸せが理想なものか?それは人によって違う事をこの小説は雄弁に物語っています。

幸せや人生について、深く考え込んでしまい明日を生きる事に悩んでしまった時は、この5つの物語を読んでみて幸せについて考えてみるのも悪くないかもしれません。

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