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陰摩羅鬼の瑕(京極夏彦)の書評

鳥の鋭い眼光

陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)では、鳥の館と言われる異様な物をいくつも展示してある所で、次々に不可解な事件によって花嫁たちが次々に亡くなっていきます。そして新たな花嫁の命を今度こそは守るために、探偵と付き添いの小説家が事件を解決してく推理小説になります。それでは、この小説のストーリーや見所などを紹介しましょう。

「陰摩羅鬼の瑕」のストーリー

花嫁にふりかかる悲劇

鳥の館に住んでいる伯爵は、今まで4回も結婚をした事がありました。しかし、その花嫁たちは結婚初夜の翌日に、誰かの手によって次々と亡くなってしまったのです。そのたびに深く傷ついてしまい伯爵が、今回も再び結婚しようとするなかで、今度こそ花嫁を守りたいと決意をします。

そこで鳥の館へ駆けつけようとするのが、榎木津礼二郎(探偵)と関口巽(小説家)たちでした。しかし結婚式へ駆けつけたのは、その二人だけではなく、伯爵の身内も駆けつけてきたのです。この身内が面倒な人間たちばかりで、事件を複雑化させていきます。

伯爵の大叔父は、伯爵に対して憎しみや嫉妬に近い感情を抱いており、伯爵に不快な思いを抱かせる罵詈雑言を浴びせてしまいます。そして、その大叔父の息子『由良公滋』は伯爵に対して悪い感情は抱いていなかったのですが、下品な事を平気で言うような人物でした。

榎木津と関口二人は、このような人間たちがいる中で花嫁を守らなくてはいけなかったのです。しかし、伯爵は犯人は身内にいると確信していたようですが、花嫁である『薫子』は身内に犯人がいるとは思えなかったのです。

その館には、以前に伯爵の花嫁を亡き者にした犯人を捕まえる事が出来なかった元警部補だった『伊庭』や、関口の友人『中禅寺』も駆けつけようとしますが、果たして新しき花嫁『薫子』の運命は?

「陰摩羅鬼の瑕」から伝わる事

金銭トラブルの画像

伯爵は、働かなくても暮らしていけるほど財産があるので、大叔父から、あまり快く思われていません。なぜなら、大叔父は家庭の複雑な事情で華族になれなかったからです。

この華族という制度は、すでに無くなってしまったのですが、それでも伯爵が働かないで多くの財産を持っている事で憎しみに近い感情を抱かれてしまう訳です。

この大叔父は本当に嫌な事ばかりを言うのですが、読んでいくうちに「それは、少しぐらい小言を言いたくなるだろう」と納得できる部分はありました。人とは環境や生い立ちによって、憎しみや嫉妬から逃れられない事が、この小説からよく伝わってきます。

「陰摩羅鬼の瑕」の見所

陰摩羅鬼の傷の見所を紹介する女性

陰摩羅鬼の瑕を読む前はホラー小説なのかなと思って読んでいましたが、どうやらホラー小説ではなく、推理小説でした。残酷な描写もなかったので、ホラー小説が苦手な方でも安心して読める小説です。

そして、この推理小説の見所は事件を推理していくだけではなく、複雑な人間関係から色々と考えさせられる所でしょう。身分にこだわる大叔父や、下品な公滋、さらには妻をもっと大事にしておけば良かったと悔やむ伊庭。その辺りも、この小説を読む楽しさと言えますね。

そして、榎木津という男の常軌を逸した傲慢無礼とも言えるセリフの数々には、思わず笑ってしまう所もありました。

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