天正女合戦(第3回直木賞 受賞)の書評

豊臣秀吉の居城

昭和11年上半期の第3回直木賞を受賞した天正女合戦(著者:海音寺潮五郎)は、天正時代に豊臣秀吉の正室『北政所』と側室『お茶々』の間で行われた厳しくも美しい戦いに焦点を当てた歴史小説になります。そこで、この小説を読んだ事がない方のために、あまりネタをバラさないようにストーリーや見所などを紹介します。

『天正女合戦』のストーリー

黒百合の美しさ

豊臣秀吉には、正室の北政所と、側室のお茶々がいました。北政所は、豊臣秀吉が身分の低い時から支えていた良妻賢母として有名でしたが、お茶々は側室でも主君だった織田信長の血を受け継いでいる女性だったのです。そのような複雑な間柄だった事もあって、北政所派(加賀殿・三条殿)や、お茶々派(お吟)に分かれていました。

そして、近いうちに茶会が開かれるという事になって、お茶々は北政所派が何か怪しい事を考えていないか、お吟に茶会の事について詳しく聞き出そうとします。お吟は、千宗易の娘で、それほど争いを好むほうではなかったのですが、普段から目をかけてくれている方からの頼みを断りきれずに、茶会の内情を喋ってしまいます。

茶会では、お茶々が心配するような企みはなかったのですが、佐々成政が北政所のために黒百合の花を届ける事が分かったのです。そこで、お茶々は同じ近江派の石田三成にある頼みごとをします。その頼みごとを石田三成は、同じ淀君派の小西行長に打ちあけますが、その頼みを叶えさせるのは難しいと唸ります。

しかし秀才と謳われている石田三成は駿馬を借りることによって、その頼みを見事に成功させるのです。そして茶会が開かれた時に、最初こそ黒百合を珍しそうに褒めていたお茶々でしたが、石田三成の働きもあって、ある物が茶会に届けられます。それを見た北政所派は激怒する事になったのです。はたして、お茶々は、どのような事を企てたのでしょうか?

『天正女合戦』から伝わる事

女性同士の戦いを暗示

女性同士の戦いは、男性同士の戦いとは違って、厳しい面もありますが、どこか美しさが伴っています。この小説でも、花を使う事によって、女性同士の美しい戦いが展開されていくのです。しかし女性同士の戦いは美しさを伴っていますが、激しくもあり嫉妬や憎悪が凄まじいので、男性は女性同士の争いを軽く見てはいけない事を現代の私たちに教えてくれます。

『天正女合戦』の見所

茶会で行われた戦い

第3回直木賞を受賞した天正女合戦では、秀吉の正室と側室の戦いだけではなく、実は秀吉と千利休(千宗易)の戦いも描かれています。その引き金になったのが、お吟でした。しかし最大の見所となるのは、やはり北政所とお茶々の美しくもあり激しい戦いです。そのため、男性同士の汗臭い戦いよりも、美しい戦いを読みたい方は、天正女合戦を読んでみる価値があります。