暢気眼鏡(第5回芥川賞 受賞)の書評!妻のノンキさに心が温まる?

のんきな猫の画像

昭和12年上半期の第5回芥川賞の受賞作『暢気眼鏡(著者:尾崎一雄)』は、貧乏な男が、ノンキすぎる妻と生活していく所から始まります。しかし、妻のノンキさが、男には理解できない時もあり頭を悩ませていました。そこで、この夫婦がどのような生活をしていくのか、詳しく紹介しましょう。

『暢気眼鏡』のストーリー

妻の歯

貧乏な暮らしを続けていた男は、朝になって、妻の芳枝に起こされます。男は何事だろうと思っていたら、暢気のんきな妻は歯から取った金冠を見せてきたのです。妻が、金冠をとったのは生活苦で、これを足しにしようとしていた事は明白でした。その時に、男には様々な屈折した感情が湧き上がってきのたです。

男の身勝手な性格(起)

男は芳枝と結婚していましたが、実は芳枝が最初の妻ではなくて、違う女性と結婚していた時期がありました。その時の男は身勝手な性格で、多くの人間と軋轢あつれきを生んでいたのです。実際に、この男は母親に嫌われてしまい、妹からは「元の兄さんに返って下さい」と手紙でお願いされる事もありました。

そんな不器用な人間でも、あまりの生活苦に友人Sにお金を借りようとした時がありました。その時は、友人Sも余裕がなかったので、ある本を渡されます。その本を足しにすれば、ある程度のお金を調達する事ができます。

しかし、そこまでの事をした友人Sに向かって「絶対に今、金がなくてはいけないんだ、君に言っても分かりはしないんだが」と悪態をついてしまいます。そんな身勝手な男ですが、あまりの情けなさからか、涙が流してしまうのです。

暢気な妻と思う男(承)

情けない日々を送っている男に、金冠を見せつけてきた妻を見て、男は暢気な女だなぁと思ってしまうのです。なぜなら、後先の事をあまり考えないで、金冠を取ってしまったからです。男は、思わず「なぜ、そんな事をしてしまったんだ」と問い詰めても、妻は「これを売って、どら焼きを買おう」と言う始末。

男は仕方ないと観念を決めたのか「次は勝手に、もう片方の金冠を取っちゃダメだよ」と忠告して、暢気な妻は「うん」と嬉しそうな表情を浮かべます。二人は、その金冠を売って、食べ物を買う事になりました。

前妻との不和(転)

男は、3年前には、前妻Eと結婚していましたが、現在と同じような生活苦で夫婦仲は良いものではありませんでした。そんな息苦しい生活から逃れるように、男は、尊敬する芸術家が住んでいるN市へ向かう事にしたのです。その時に、男は信じられない事に、友人Kに「後はお願いする」と言って、妻を押し付けてしまいます。

実は、友人Kは、男と前妻Eの共通の友達で、夫婦仲を心配する親友という関係でした。実際に男は妻と口論したら、相手が女性でも殴ってしまうような粗暴な性格をしていました。そんな性格をしている男だったので、ある日、妻に大怪我を負わせてしまうのです。

友人Kは、さすがに前妻Eに同情してしまったので、それからはさすがに前妻Eに手をかける事はなくなりました。しかし男と前妻との仲は歩み寄れない関係に陥ってしまったのです。そして、男が帰郷してから、8ヶ月後に前妻との関係を清算してしまうのです。

芳枝との出会い(結)

男は、一人になってから、上京した時に、後に妻となる芳枝と出会う事になります。しかし、男は小説を書く事が好きなので、また貧乏暮らしで芳枝を苦しめる事になると思って、再び結婚する事は躊躇ちゅうちょしてしまいました。

しかし、芳枝の素直な所と、暢気な性格に惹かれてしまって、結婚する事にします。実際に生活苦に陥っても、暢気な妻は嫌な顔をひとつせず、穏やかな生活を続けられました。所が、男は「いつまで、暢気な性格を続けてくれるのか」と追い込まれているようにも感じて、焦ってしまいます。

そんな芳枝に、マネキンの仕事を頼む者が現れたので、金に困っていた事もあって、芳枝は承諾するのです。所が、芳枝は自分にマネキンの仕事ができるのか不安を抱いていました。男は、暢気そうに見えて、そんな心配をする妻に緊張しないようにアドバイスをします。はたして、この二人は今後も幸せな生活を送る事はできるのでしょうか?

『暢気眼鏡』から伝わる事

夫婦の仲が険悪

男が女性に手を出すという事は、絶対にあってはならない事です。所が、そんな粗暴な男でも、相手の女性が違ったら、ここまで対応が変わってしまうのかと驚かされます。この事から、どのような性格をした人間でも、相性というものがある事を、暢気眼鏡を読んでいたら分かります。

『暢気眼鏡』の見所

のんきな夫婦

男は身勝手な性格をしていて、褒められるような人間ではありません。そのため、暢気眼鏡を読んでいたら、ツッコミどころが満載な小説になっているので、感情移入しやすくなってしまいます。

そして、身勝手な男でも、暢気な妻を生活をしていく事によって、少しずつ性格が変わっていく所を見るのも暢気眼鏡の大きな見所です。

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