『怪談百物語 第8回雨月物語』吉備津の釜の占いを無視した悲劇

吉備津の釜に似ている画像

怪談物語の第8回雨月物語では、商いをしていた叶屋庄太夫の息子 正太郎が、磯良との婚姻をしたら、どのような結果になるのか吉備津の釜の占いをする事になりました。しかし、その占いは最悪の結果だったのですが、その占いを無視したら、正太郎に恐ろしい悲劇が訪れるので、詳しく紹介しましょう。

『怪談百物語 第8回雨月物語』のキャスト

正太郎が吉備津の釜の占いを無視してしまう『怪談百物語 第8回雨月物語』に登場する人物や、役者さんたちは以下の通りです。

  • 蘆屋道三/釜を取ってくるように頼まれた陰陽師(演:竹中直人)
  • 小夜/父に声をかける娘(演:大村彩子) 
  • 叶屋正太郎/女にだらしのない男(演:椎名桔平)
  • 叶屋庄太夫/放蕩息子 正太郎に怒る父親(演:山田明郷)
  • 香央磯良/正太郎の妻(演:富田靖子)
  • お春/正太郎の愛人(演:佐藤江梨子)
  • 茶店親爺/茶屋の主人(演:奥村公延)
  • 老師/正太郎の危機に気づく老師(演:山本學)

『怪談百物語 第8回雨月物語』のストーリー

正太郎は、磯良との婚姻を占うために、吉備津の釜を使う事にしました。良縁であれば釜が鳴るはずでしたが、一向に釜は鳴らなかったのです。しかし、正太郎は「私はこの人と一緒になります、こんな釜ごときに大事を決められてなるものですか」と言って、占いを無視してしまうのです。これが大いなる不幸になるとも知らずに。

磯良に頼まれる道三(起)

そんな占いが行われていたとは知らずに、屋根の上では道三が居眠りをしていたので、娘の小夜が起こしに来ましたが、道三は悪態をついていたら、屋根から落ちそうになりました。それから、道三は少ない稼ぎに愚痴をこぼしていたら、磯良が「もし陰陽師様、あなたはきっと名高い陰陽師さまでしょう?」と話しかけてきました。

道三は「分かりますか」と上機嫌になった所で、磯良は「吉備津神社のお釜を借りてきて、妹の縁談を占ってもらいたいのです」と頼みごとをしてきました。磯良は「今宵、丑の刻までに是非ともお願いしたいのです」と言ってお金をそっと渡されたので、道三は「大船に乗ったつもりでお待ちください」と安請け合いします。

道三は、磯良に教えてもらった祠(ほこら)までに行ったら、なぜかお札ばかり貼ってあったので、何か違和感を覚えます。しかし、丑の刻までにと言われたのでお札をはがそうとしたら、祠の中から見窄(みすぼ)らしい男が「開けるな!」と叫んで来ました。その男は何と吉備津の釜の占いを無視した正太郎だったのです。

正太郎の話(承)

道三は、正太郎に「わしはある者に頼まれたので、ここを開けてくれぬか?」と言いますが「それは困る!あと一晩、あと一晩だけ、それまではここを一歩でも出れば、私の命はないのです。この49日ここにいました。私は死霊に取り憑かれているのでございます」と打ち明けました。

正太郎の話によれば、磯良と婚姻したのに店のお金をくすんでは愛人のお春と遊んでいたのです。そんな放蕩息子の正太郎に対して、父親の庄太夫は怒鳴りつけていました。しかし、その間をいつもとりもっていたのは献身的な妻 磯良でした。しかし、磯良はついに正太郎が愛人と遊んでいる所を見てしまいます。

磯良は、お春に会って、お金を渡して身を引かせます。しかし、それに気づいた正太郎は、磯良に「お春を親戚の家に戻させるので、その旅費を工面してあげたい」と言ってきました。磯良は二人が一緒にならないのであればと思って、密かにお店から金を盗み出しますが、正太郎は磯良に手枷(てかせ)を付けて金を奪います。

正太郎のひどい仕打ち(転)

驚いてしまう磯良に、正太郎は「この金で私はお春と一緒に消える、私の事は忘れるんだな」と言って立ち去ります。磯良は「おのれ正太郎、憎や正太郎」と自害して果てます。そして、正太郎はお春と一緒に茶屋で泊まる事にしました。所が、お春は何かに誘われるように水辺の所へ行ったら、磯良に引きずり込まれてお春は命を落とします。

そして正太郎は、お春の墓参りをしていたら、近くで墓参りしていた女性が「私の主人も愛する人を失って悲しんでいます」と言ったので、正太郎は会いに行こうとしたら、そこで白い肌がボロボロになった怨霊の磯良が「ふふふ、これは正太郎様、あなた様から受けたひどい仕打ち、今宵思い知らせる」と迫ってきたのです。 

正太郎はそれから磯良から逃げるように顔を隠しながら歩いていたら、ある老師から「待ちなされ、あなたには死霊が取り憑いている」と、ある祠に入るように言われました。そして祠に多くのお札を貼って、磯良が入ってこないようにさせました。そして49日が過ぎるまで祠に入っていれば命は助かると言われて、祠にこもる事にしたのです。

磯良の巧みな誘い(結)

しかし、それから磯良は「あら憎や、こんな所にお札が貼り付けてある、ひどいではありませんか正太郎様、こんなお札で私を邪険にするとは許せません」と毎夜迫るようになりました。その話を聞いた道三は「ひどい事をしたもんだな」と蔑んたら、正太郎は「これから磯良を弔おうと思っています」と打ち明けたら、磯良が現れたのです。

磯良は今までの行いに頭を下げて「これでお別れです正太郎様」と言って消えていきました。そして朝日が差し込んできたので、これで49日が過ぎたと思った正太郎の前に、お春が現れて「もう大丈夫、今までよく頑張りました」と微笑んできたのです。それに正太郎は「会いたかったぞ、お春!」と感激して扉を開けようとします。

所が、外はまだ真っ暗で、道三の目にはお春ではなく、死霊の磯良が手招きしている姿が見えました。道三はお経で成仏させようとしますが、磯良に睨みつけられて動けなくなってしまいます。そして、正太郎がお春に近づいたら、その姿が磯良へ変わっていったのです。はたして正太郎は助かるのでしょうか?

『怪談百物語 第8回雨月物語』の豆知識

正太郎の自業自得とは言え、死霊と化した磯良に苦しめられて行く『怪談百物語 第8回雨月物語』に関連する豆知識を紹介するので、ご覧になってみて下さい。

映画『雨月物語』

1953年に上映された映画『雨月物語』では、戦国時代に甘い幻想と厳しい現実に翻弄される男が、女によって苦しんで行く内容になっています。昔の映画なので、リアリティーを感じますが、予告編だけを見た感じでは、怪談百物語の雨月物語のほうが怖いように感じます。

それでも、昔に制作された雨月物語がどのようなものか知りたい方は、見ておくのも悪くはないでしょう。

古典の雨月物語

雨月物語の作者は、江戸時代後期の国学者の上田秋成と言われています。しかし詳しい出自は分かっていないのですが、それは大昔なのでやむを得ない所です。この物語は怪談になっていますが、人間の情念を描いたものであり、序文にある「雨があがって月が朦朧としている晩に書いた」という所がタイトルに由来しています。

さらに雨月物語は、九篇もの怪談物語となっていて、本来であれば四谷怪談に遅れを取らない怪談ものと言えるでしょう。しかし映画の本数で言えば、四谷怪談のほうが多いようです(2018年時点)。

『怪談百物語 第8回雨月物語』の感想

怪談百物語の中では、最も恐ろしい内容になっているのが『雨月物語』であり、それは『四谷怪談』に匹敵するものでした。それほど恐ろしい内容になっている『怪談百物語 第8回雨月物語』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい。

『怪談百物語 第8回雨月物語』の残念な所

尋常ではない恐ろしい内容になっているので、満足がいくものでしたが、ただ1点残念だったのが、磯良の特殊メイクです。それは白い肌がボロボロになっているものでしたが、いかにも作り込んだメイクという感じがしたので、そこはもう少し、リアリティーのある特殊メイクにして欲しかったですね。

『怪談百物語 第8回雨月物語』の見所

正太郎がひどい仕打ちをしたとは言え、死霊と化した磯良の迫力は凄まじく、何とか祠にこもった正太郎に迫るシーンは見応え十分でした。さらに、お腹を空かした正太郎に握り飯を持参して、正太郎が手を伸ばした所で、爪で引っかいて、正太郎の腕が火傷する所は「女の怨念は怖過ぎるなぁ」と震え上がりそうになりました。

怪談百物語は、少し美談が多いのですが、やはり怪談ものですから、このような内容をもっと多くして欲しかったですね。