天公将軍張角の書評!黄巾の乱の首謀者が抱いた淡い恋心

万里の長城

天公将軍張角(著者:海音寺潮五郎)は、中国の後漢末の時代に、黄巾の乱の首謀者だった張角の甘酸っぱい愛について書かれた歴史小説です。そこで、この小説をまだ読んだ事がない方のために、あまりネタをバラさないようにストーリーや見所などを紹介します。

『天公将軍張角』のストーリー

神仙の修行

張角は官史採用試験に何度も挑戦しようとしますが、何回も落ちてしまいます。そのため、張角は世間体を気にするようになってしまいます。そして頭まで痛くなって、医者に診てもらったら「結婚すれば治る」と適当な事を言われてしまう始末。

そんな張角でしたが、街中で美しい少女に心を奪われて、積極的に話しかけようとします。しかし、その少女はつれない態度をとるのでしつこく追いかけていったら、谷の近くで虎が出現しました。これに驚いた張角は、谷底へ落ちていきます。

張角は、ふと目を覚ましたら、そこには張角が一目惚れをした少女がいたのです。張角は少女から助けられていたのですが、少女は10年後にまた会う事になると言って姿を消します。張角はどういう事なのだろうかと困惑しますが、それから見知らぬ老師が出現するのです。

老師は張角に神仙を習ってみないかと誘ってきたので、張角は神仙を習えば、あの少女と付き合う事もできるかもしれないと思って、神仙を習う事にしました。積極的に神仙を習った張角に、老師はある巻物を渡します。張角は、その巻物を使うようになって、暴れる猪を退治できたり、病に困る人々を助けたりできたので、次第に名声を得るようになります。

張角の弟たちは、兄を立てて一大宗団を築き上げる事を考えます。しかし張角は一大宗団にはあまり興味を示しません。そんな張角は再び、あの少女と巡り合う事ができたのです。しかし、ここでも少女とは上手くいかない上に、弟たちの悪巧みによって、張角は官軍と戦う事になってしまうのです。

しかし神仙を習った張角は、10万もの官軍を率いていた劉焉を翻弄して全滅させる勢いでした。所が、その官軍の中から500ほどの兵を引き連れた劉備・関羽・張飛という無名の者たちによって、苦戦させられます。はたして張角は、この難局を乗り越える事ができるのでしょうか?

『天公将軍張角』から伝わる事

張角の修行した場所

張角は、試験に何度も落ちるような男でしたが、愛する少女のために、神仙を習い武術も上達するほど急成長しました。この事から分かるように、何の取り柄もないように思われた人間でも、何かのために頑張れる理由ができたら、人間は変われる事がよく分かります。

ネタバレになるので、この小説のラストシーンは説明する事はできませんが、張角と弟たちの関係は意外な結末を迎えます。それでも、張角が好きな女性のために頑張れたのは事実なので、何も変われない方は何か目標を持つだけでも変わる事ができるでしょう。

『天公将軍張角』の見所

中国の館

日本では三国志演義が高い人気を集めているので、劉備が主役という設定を好む方は多いです。そのため、劉備が討伐する事になる黄巾党の首謀者である張角が、主人公というのは異色の小説と言えます。そのため、違う角度から後漢末の時代を小説で読んでみたい方には貴重な小説です。

この小説『天公将軍張角』は、海音寺潮五郎先生の『天正女合戦(春陽文庫)』の中に書かれているので、興味のある方は読んでみて下さい。