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普賢(第4回芥川賞 受賞)の書評!作家を悩ませる人間模様

作家が執筆作業

昭和11年下半期の第4回芥川賞の受賞作『普賢』は、石川淳先生の小説で、小説を書こうとする者が、知人や一目惚れした女性のために苦悩していく所が描かれています。そこで、この小説を知らない方のために、あまりネタをバラさないようにストーリーや見所などを紹介するので、参考にしてみて下さい。

『普賢』のストーリー

古いアパート

小説を書く事に集中したい人物は、知人『垂井』のアパートの部屋にいました。そこへ、日の出新聞の者がやってきて、お勘定を催促してきたのです。しかし垂井本人ではなかったので、垂井に催促してくれと追い返します。日の出新聞の者は「誰が、誰だか分かりゃしねぇ」と怒りながら去っていくのです。

その垂井茂一は出世を夢見る人物でしたが、ある時に腕時計が必要になったので、腕時計を貸してくれるように頼んできた事がありました。仕方なく腕時計を貸したら、3ヶ月経っても、返そうとしないだらしのない人間だったのです。

さらに宿の女主人の安子がやってきて、坂上に会わせてくれると言ったじゃないですかと問い詰めてきたのです。以前に、そのような約束をしていたなと思い出して、小説を書きたくても仕方なく二人を会わせてあげる事にします。そんな忙しい毎日を送っている者にも、学生時代には共に文学について、討論しあう文蔵という親友がいました。

文蔵とは今でも友達付き合いをしていましたが、かつては共に大学を自主退学した仲でもあったのです。そんなホロ苦い経験をしている男にも、一目惚れをした女性がいて、それが『ユカリ』でした。所が、そのユカリは警察に追われていて、行方をくらましている事が分かったのです。

自分の心をとらえては離さない相手だっただけに、この話は衝撃的でした。そんな時に、警察から追われていたユカリを偶然にも見つけて、ついつい逃す事を手伝ってしまうのです。このままでは自分も警察から追われると思って、逃支度をしようと知人からお金を借りようとしますが、ささない事で、感情的になって口論する事になるのです。

これからどうしたものかと悩んでいる所へ、安子が凄い勢いでやってきて「庵さん(文蔵)が…」と言ってきたのです。何かあったのかと思って心配になります。そして文蔵を見ようとしたら、そこで衝撃的な光景を目の当たりにするのです。はたして文蔵はどうなってしまったのでしょうか?

『普賢』から伝わる事

神頼みする人たち

小説を書きたくても、様々なトラブルに巻き込まれてしまう作家が、そのたびに普賢菩薩(ふげんぼさつ)にすがろうとします。しかし普賢菩薩に祈った所で、助けてもらえる訳がありません。

この事から神様や菩薩様に祈った所で、自分が作り出してしまった人間関係から逃げられない事がよく伝わってきます。そのため、環境を変えたい場合には、まず自分から努力して、人間関係を見つめ直す事が重要です。実際に、この世の中には良い人もいれば、嫌な人間もいるので、人間関係に悩んでいる暇があれば、その関係を再構築する事は重要でしょう。

『普賢』の見所

悲哀を表す花

普賢は、普賢菩薩にすがろうとする作家に悲哀を十分に描いている小説でした。しかし読んでいる途中まで、あまりにも難しい内容になっているので「この小説は何を伝えたいんだ?」と困惑するばかりでした。しかし読んでいくうちに、しっかりと小説と向き合わなくてはと思っていったら、作家の悲哀が十分に伝わってきました。

この小説は人間関係があまりにも複雑なので、分かりづらい所があります。しかし、複雑な人間関係の中でも、様々なトラブルの中でも自分が行いたいものにとりかかろうとします。そのため人間関係を悪い状態のままにしたら、ここまで苦しい思いをする事を伝えてくれるのが、この小説の大きな見所です。